保健科学東日本の遺伝子倫理ガイドライン

保健科学東日本では生化学検査や血液学検査などの臨床検査だけでなく、ヒト遺伝子検査やヒトゲノム・遺伝子解析に関する研究開発や研究受託も行っています。そのため、日本衛生検査所協会によって設けられている「ヒト遺伝子検査受託に関する倫理指針」を厳格に守ることによって業務に関するさまざまな倫理的問題を明確にしています。さらに、保健科学東日本がヒト遺伝子の解析に関わる研究を受託する場合、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に沿った研究であることを確認することとしています。 保健科学東日本が受託しているヒト遺伝子検査は、あらかじめ医師から被験者へ検査の目的や方法、精度や限界、結果の開示方法などに対する十分な説明と、それによるインフォームドコンセントが得られていることが前提です。さらに、遺伝疾患の発症やそのリスクについて行われる遺伝カウンセリングが必要と判断された検査については担当医師の署名による申し出文書の確認も実施しています。保健科学東日本では個人情報の保護についても、適用される法令や指針を遵守しており、被験者の個人名は番号や符号といった匿名化を採用しています。検査結果については担当医師に親展扱いで報告するなど、医療機関の協力を得ながら個人情報管理の体制を整えてきました。 保健科学東日本では検体の扱いについても細かな取り決めをしています。まずヒト遺伝子検査の受託自体を医療機関からのものに限定し、検体は依頼された検査のみに使用します。検査後の検体は一定期間保管することとし、期間経過後は速やかかつ適切に廃棄することとしています。ただし、検体の一部について検査制度の向上や維持のために管理試料として用いるケースもあります。その場合はデータ照合が不可能な連結不能匿名化を行ったうえで使用するとしています。 保健科学東日本では、検査技術の精度を保証することを目的としてヒト遺伝子検査や解析を行うスタッフの医学的知識はもちろん、十分な技術を求めています。そのため、社外研修や各種学会などへの参加による積極的な知識と技術の修得や、倫理指針やガイドラインの把握が必須とされています。ヒト遺伝子検査の受託、ヒトゲノム・遺伝子解析にかかわる研究開発や受託については倫理審査委員会による審査にて承認を受けたものでないと実施できません。保健科学東日本もこの方針に従い、倫理的かつ社会的な信頼を得ることを第一とし、医療の発展に努めています。