保健科学東日本では、実地臨床で本当に必要とされている検査を提供すべく、これまで培った検査技術と知識を活用し、検査項目の開発に取り組んでいます。一人ひとりの体質に合わせた治療や予防を行う、次世代型の医療である個別化医療の発展に貢献するため、最先端の技術を扱う大学や研究機関、バイオ企業などと連携することで保健科学東日本独自の検査項目を取り揃えています。
保健科学東日本が行った診断の結果、同じ病気と判断されれば同じ薬を投与することになりますが、投与された全員が同じ効果を得られるとは限りません。また、副作用の出方も人によって違います。遺伝子検査をすることで投薬によりどのような結果がでるのか、予測が可能となりました。
保健科学東日本が行う遺伝子検査では、中枢神経系薬やβ遮断薬など、臨床上重要となる薬物を代謝させる酵素CYP2D6の代謝能の予測ができるため、投薬方針を決める際や創薬の治験に役立ちます。プロトンポンプ阻害剤や抗不安薬などの薬物を代謝させる酵素CYP2C19に対する遺伝子検査では、適正な投薬量の判断がつくため、効果の向上と副作用の低減に欠かせません。
感染症対策に有効な感染症遺伝子検査も受託しています。全国の大学病院をはじめ、官公立病院、大手センターなどから受託している結核性髄膜炎Nested PCR検査は、日本大学医学部の中山智祥教授より技術供与を受けたことで確立した遺伝子検査です。
また、免疫力の低い高齢者や乳児では死亡することもあるノロウイルスについて、高感度でありながら迅速に検出可能なノロウイルスRNA検査も受託しています。
その他に、性感染症(STD)スクリーニング検査についても受託を開始しています。一度の検査で主要な性感染症病原体を網羅できるマルチプレックスPCR検査を採用しているので感染拡大防止に役立つでしょう。
保健科学東日本の遺伝子検査では、倫理ガイドラインを定めています。検査受託の際は、事前に医師から被験者に対し検査の目的や方法、精度や限界、結果の開示方法に至るまで丁寧な説明を行い、文書によって被験者の同意が得られていることを確認しています。
遺伝子検査の受託では、その委託元を医療機関に限定し、なおかつ、検体の使用は依頼された検査のみに限るとし、検査終了後の検体を第三者へ分与することは認められていません。新規で検査を受託することや、遺伝子解析に関する研究などを行うことについては倫理審査委員会の審査により承認を得られた場合に限られています。